エルピーダについて書いてみたいと思ったけどエルピーダのことをよく知らない

 エルピーダについて書いてみたいと思ったけど、エルピーダのことをよく知らない。けど、書いてみたいと思う。

 最初に倒産の報に接したのはネットの上でだったけど(最近はこういうことが増えた)、まず抱いた感想は「まだあったんだ、この会社」でした。

 ちょっと前に政府から支援を受けるの受けないのという話があって、その時に「ああ、もうダメなんだな」と骨折した競走馬を見るような、ちょっといやな感じのあきらめを抱きました。そして、その件について経産省のお役人がインサイダー取引をしたとかで手が後に回ったと聞いて、「もう終了だな」と心のシャッターをガラガラ降ろしていたのです。つぶれる時はあまり騒ぎにもならずにひっそりとお亡くなりになる、と勝手に思っていたら、意外と世間は大騒ぎになったので驚きました。

 

 こんなにも心が離れていたのに、何を今さら書こうとしているかというと、自分が感じている奇妙な「懐かしさ」について、ちょっと書いておきたかったのです。

 その昔、日本は次々に新しい半導体、主にDRAMというやつを開発していて、向かうところ敵無し状態でした。当時は毎日のように半導体の新開発の情報が新聞に載り、読むものの心を騒がせました。

 「21世紀は日本の時代だ!」と真顔で語る人がたくさんいました。池袋の居酒屋でチーカマかじってる酔っぱらいだけでなく、テレビに出てくるようなエラい評論家の先生もそんなことを言ってました。いやまてよ、確か世界銀行の総裁が、そういう感じでインタビューに応えてたっけか。

 それに加えて、「日本人は器用だから、こうした技術は他の追随を許さない」とかいう人もいました。やや危ういようにも感じましたが、なんとなく「そんなもんかな、いや、そうだったらうれしいな。きっとそうなんだろう」と納得しました。

 半導体という「産業の米」を支配し、日本には輝ける未来が約束されている、と素直に信じていました。なんだか恥ずかしいですね。

 

 そういうものは全部終ったと思っていたのに、まだ終っていなかったんだなあ、というか、今日の報道を見ると経営者はまだ続ける気満々みたいですね。もういいのに。

 でも、このはっきりとした「終った」感は、エルピーダそれ自身の故障ではなく、もっと別なところから由来しています。

 その「由来」からそろそろ1年がたちます。

 なので、エルピーダ倒産に続く「大騒ぎ」は、なんだか別の世界の、とうに終わった時代の物語がいきなりタイムスリップして目の前に落ちてきた、という感じがするのですね。

 そして、これからもこうした「タイムスリップ」は、そこここで起こるのだろうな、という、いやな予感がしたりするわけなのです。

 「終ったと思ったら終ってなくて、終ってるのに終ってないような、なんだかしまらないお話」という状況はまだまだ続くのでありましょう。