http://econ.nyu.edu/user/debraj/Papers/AndersonRay.pdf
MISSING WOMENと題されたレポートなんですが、中国やインドだけでなく、北アフリカでも女性がどんどん減っていて、独身男性が100万人ほど余ってるというお話です。
中国の件は有名ですね。一人っ子政策で男の子を欲しがる家庭が多すぎたため、独身男が600万ほど余る、と以前AERAで読みました。実際はもっと多いかもしれません。
インドの方は最近、ちょっと深刻なレポートが話題を呼びました。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~junkofoundation/newpage9%20%20FACT.html
インドでは生まれた子が女の子だと、間引きしちゃう地方がまだあったりする、とのこと。
こういうのは昔なら珍しいことじゃなくて、江戸期の日本でもやってました。
あと、アラブの遊牧民は女の子が生まれると、生きたまま砂漠に埋めてしまったりしたこともあったそうです。これ、割と知られていませんが、ムハンマドがやめさせました。今では信じられないかもしれませんが、イスラム教は当時としては画期的なフェミニズム宗教だったのです。
なんで女性を意図的に減らしたりするのか、といえば、「女性は生産的でない」または「女は生産性において男にはるかに劣る」という認識が広く行き渡っているからです。
「えー、男は子供産めないじゃん?」という意見もあると思いますが、「出産」は「再生産」であって、「生産」ではないんです。
ロングレンジで考えれば子供がいた方がいいに決まってるけど、とりあえず自分の食い扶持すら思うにまかせない状況では、生産性において劣る存在の面倒を見る余裕がなくなってしまう。ショートレンジでは「再生産」は「消費」と同じように見なされるというわけ。
そうして「生産」は「再生産」を嫌うようになるのです。
女も子供も「生産」より「消費」の方が多い存在です。女性は本来そうでないかもしれませんが、「そういうものだ」と信じられています。これらは社会に物質的な余裕が少なければ、真っ先に排除の対象とされてしまいます。しかし、それでは先々に人口構成の面で、上記のような問題が出てくる、という結果をもたらします。
人類は自分たちの生産性がアップするまで、ずーっとこの問題をごまかしごまかしやってきました。
今もごまかしています。
さて、こうした構図は男と女だけに限りません。
例えば企業が求人をします。
応募条件に「大卒」と一言加えます。
その企業が採用した社員に、とんでもなく安い給料しか払わなかったとしたらどうでしょう。
経営陣はこう言うかもしれません。
「ちゃんと働かないやつが悪い」
しかし、その給料では社員が結婚できなかったり、結婚しても子供を大学へやれなかったりしたら……
採用の際、「大卒」と条件を付けるのはなんかおかしいように思えますね。
社会から余裕がなくなると、まず「再生産」が切り捨てられる。
そしてそれはやがて、自分の首を絞めることになる。
しかし、「生産」を至上命題とするからには、わかっちゃいるけどやめられない、ってわけです。
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