森田芳光『僕達急行 A列車で行こう』が「なんかおかしい」のでおすすめです

 また娘と二人で観に行ってきました。娘が春休みなんであちこち連れ出してます。ほっとくとずーっと家でテレビ見てますからね。

 で、あれこれ悩んだ末、森田芳光監督の遺作(になってしまった…)『僕達急行 A列車で行こう』を選びました。

 予告編をあげておきましたが、さて、この予告編を見て何人の人が映画館に足を運ぶでしょうか。なんだかこれじゃ鉄道オタクの変な映画……いや、まさにそうなんだけど、それだけでもないんで、『家族ゲーム』のころからの容赦なく現実を見抜く視線がコミュニケーションの不可能性を抱える現代社会に、とかいうような評論っぽい言葉なんかつるつる上滑りしてしまう、「なんかおかしい」映画です。

 そう、「なんかおかしい」

 おもしろいか、つまらないか、と訊かれれば「なんかおかしい」

 ださいのか、かっこいいのか、と訊かれれば「どっか微妙」

 良いのか、悪いのか、と訊かれれば「あえて言うなら間が悪い」

 そんな感じの映画です。

 で、この「なんかおかしい」「微妙」「間が悪い」てのは、もう30年くらい前から若者の中に一定数いる、「オタク」そのものなんですね。

 主人公二人は鉄道オタクなんですが、この映画そのものも「映画オタク」がつくりましたみたいになってます。もちろん、ワザとでしょう。

 基本は昔の日本映画、それも芸術的じゃない「社長シリーズ」や「駅前旅館シリーズ」ですね。画面の色調、構図、カメラワーク等々、昔の日本映画の3本立てとか見てた世代は、へんてこなノスタルジアに襲われてしまいます。

 しかも、演出やカメラが、ときどき小津だったり成瀬だったり木下だったりします。そしてそれがまったく効果的に使われてなくて、全然どうでも良いシーンで小津だったりするもんで、ヴェンダースが見たら悶絶死することでありましょう。蓮実重彦あたりに見せたら殺されますね。あ、森田監督はもう死んでるんだったか。

 

 そんな「おかしい」映画ですが、客の入りはさっぱりでした。やってるうちにさっさと見ておいた方が良いです。いいから見なさい。

 ちなみに娘はこの映画が非常に気に入って、ちょくちょく映画のエピソードの話をふってきます。ちょっと将来が……有望だと親バカらしく言っておこう。

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