王様は裸だけれど女王様は裸にならないの?もしくは少子化の何が一番問題なのか

 「王様(政治)は裸だ!」ってのはよく耳にするたとえです。なんか野次ってる方も素っ裸だったりして笑えるんですが、とりあえず権力者をなじるのに使いやすいレトリックなもんで、最近ではむしろ誰でも彼でも権力を握ったやつから服をはぎとることになってるみたいですね。それはそれで面白いからいいけど。

 さて、それでは「社会科学の女王」であるところの「経済学」の方はいかがでしょう。

 「女王様(経済)は裸だ!」なんてのは聞いたことがありません。

 それに類似するような、経済学的なありこれについて疑問を呈するような声もありません。

 そりゃそうです。誰だって貧しいより豊かな方がいいし、赤字より黒字の方がうれしいし、不景気よりバブルの方が気持ちいいもんです。その祭司たる「経済学」に何の異論を挿むことがありましょうや。

 

 しかし、その「女王様」が、そろそろストリップしなきゃなんない局面が近づいているんです。しかもこの「日本」で。

 それが、少子化です。

 もっときちんと言えば、人口が減少するってことです。

 あんまり知られてないことですが、経済学ってのは「人口が増える」ことを前提にして作られてる学問なんですね。いや、学問ってこともないか、「○◎理論」てのがほとんどそうなんです。基本の基本で疑いのない前提になってるもんで、わざわざ「人口が増える」なんてなことは書いてないくらいです。そして、経済学者自身もそのことをまったく意識してません。

 だから「少子化」は大変なことなんです。

 だって、経済学的な「理論」のあれこれが全部無効になりかねないんですから。

 あ、移民をたくさん入れればとりあえずごまかせます。だから経済学者はどの学派でも移民には賛成ですね。条件を付けてるとこもありますが、反対してる人なんかいません。

 もちろん、人口が減少してくれば経済学者は、減少する局面でのあれこれを「理論」化してみせることでしょう。しかし、その「理論」はかつての女王様の「勅令」ではなく、数多の臣下たちーー政治学とか社会学とかーーと同等の重みしか持たなくなるでしょう。いや、個人的には、それらより軽くなるんじゃないかと思ってますが。

 過疎地や限界集落の復興について、経済学者の発言ってたいして重みがないでしょ?そういうことが全国的に起こるってわけです。

 ごく一部の地域についてのことなら、日本全体を見る視点からあーだこーだごまかせますが、日本中がそうなってきたらどうしようもありません。

 これは大恐慌よりもとんでもないことです。経済学者にとっては。

 

 ついでなんで、無い頭を絞って「人口が減少してくると起こること」を考えてみます。

・勤労が「美徳」ではなくなる

・誰かを「尊敬する」ということが少なくなる

・集団への帰属を求める意識が薄くなる

・自殺が減る

・殺人が減る

 うーん、社会学の「アノミー」みたいだ。でも、そんな悪くないような気がしないでもないような。

人口学への招待―少子・高齢化はどこまで解明されたか (中公新書)