憲法改正大賛成!!!

 問題です。

 とてつもなく永い間憲法を改正せず、それどころか改正を口にするだけで売国奴のように罵りまくられてしまう、とっても憲法の変えづらい国があります。それはどこでしょう?

 

  ドキドキの解答はCMのあと!

 ……あ、すいません。引きました? 

 まあともかく、正解はこちら!

 

 答えは「ア  メ  リ  カ」

 

 そう、アメリカ合衆国でしたー。わーぱちぱちぱち。

 なんたって合衆国憲法は今や「世界最古の成文憲法」なんです。成立以来一度も改正してませんからね。

 しかも、がちがちの硬性憲法で、ちょろっと修正条項をくっつけるのですら、上下両院の3分の2の賛成に加え、4分の3の州の同意が必要なんです。改正なんか夢のまた夢。

 

 たとえば議員の給料を会期中に下げてもいいんじゃない?、なんて条項なんか、提出されてから成立まで200年以上かかってます。

 女性への選挙権付与も、1920年までかかりました。最初に修正条項(修正19条)が提出されたのが1878年(19世紀…)ですから、40年以上かかってますね。成立した時、最初に提出した人は、とっくにお亡くなりになってたそうです。

 しかもこれ、かなりぎりっっぎりのすべりこみセーフでして、ハリー・バーンという議員が「票決直前に」反対派から寝返って賛成に回り、「一票差」で成立したんです。

 賛成に回ったきっかけは母親からの手紙でした。

 「がんばって賛成票を投じなさい! 曖昧にしてはいけません。反対意見はいくつか聞きました。ひどいものです。おまえがどうするつもりなのか見てきたけれど、まだよくわかりません。いい子でいることを忘れずに、ミセス・カットのお手伝いをなさい。 母より」

(ミセス・カットは賛成派のリーダー)

 この手紙を受け取ったハリー・バーンは票決直前に賛成派となり、胸に赤いバラをつけたまま(赤いバラは反対派の表明。賛成派は黄色)、議会で高らかに「賛成」と言ったのです。議会の反対派は泣き叫び、賛成派は胸の黄色いバラを投げて勝利を祝ったのでした。

 ハリーは議会の後、突如賛成に回った理由を訊かれ、「母親の忠告はもっとも従うに足るものだと思っております。そして、母は私が賛成することを望んでおりました」と答えました。あっぱれなマザコンです。いっそ清々しい。

 それまでのアメリカは「良識と分別のある女性は投票などしたがらない」と、前大統領が当たりまえみたいに口にする国でした。あ、これ言ったのはクリーブランドです。フィリピン合併に反対して「アメリカ反帝国主義連盟」を作った人でも、女性に対してはこの程度の認識でした。

 

 そして、制度的に変えづらいだけではなく、ちょっとでも「改正したほうが……」なんて口にしようもんなら、四方八方から罵倒の嵐が飛んできます。

 とくに共和党支持者がすごい。保守的な考えを持つ人たちは、「米国憲法はぜーったいぜったいぜったい変えちゃだめだああああ!!!」って叫んでます。

 あと、アメリカにはびこってる「陰謀」を信じちゃってる人たちも。

 「フリーメーソンがアメリカを支配してる!!!」

 「イルミナティがアメリカを狙ってる!!!」

 「フェビアン協会の陰謀に気をつけろ!!!」

 「いやそれよりロスチャイルドが!!!」

 「ユダヤが!!!」

 「フェニキアが!!!」

 「日本のヤクザが!!!」

 などなど。最後のはギャグみたいですが、日本のヤクザがアメリカを転覆しようと狙ってる、てのをマジで信じてる人っているんですよ。ちょっと前に超巨大ハリケーン「カトリーナ」がアメリカを襲った時、とある局の女性キャスターが、「これは日本のヤクザがヒロシマの仇を討つために作り上げた気象兵器だ」と真顔で話したことがあるんです。すごいですね、ヤクザ。

 で、こういう陰謀論を信じてる人たちが軒並み口にするのが

 「やつらは合衆国憲法を変えようとしている!!!」

 っていうやつです。

 改正されて何が困るんじゃい、とアメリカに住んでない人間は思うんですが、

 「合衆国憲法を変えることで、アメリカ人の精神をあんにゃらもんにゃら」というばっかりではっきりしません。

 たぶん、彼らが大事にしてるのは、修正2条ですね。

 

武器を保持し携帯する人民の権利は侵害されてはならない。」

 

 えーっとですね、これ1791年にくっついた条項なんですが、市民に銃を持つ権利を憲法で認めてるなんて、今やアメリカとメキシコとグァテマラくらいなんですよ。完全に時代遅れ。

 

 それからですね、合衆国憲法にはある単語が欠けています。

 さあ、なんでしょう。正解はC…いや、すぐ書きます。もったいつけるほどのことじゃないんで。

 

 それは「人  権

 

 これは知ってる人も多いかな。大学の一般教養で「憲法」を選択して、さぼらずに授業に出てると必ず教えてもらえる豆知識です。

 あんなに他の国には「人権人権」やかましいくせに、自分とこの憲法は「人権?なにそれ」状態なんですよ。たいしたもんですね。あ、念のため断っときますが、「人民の権利」と「人権」は別物ですんで。

 

 さて、そんなシーラカンスのような米国憲法ですから、自分の国の最高裁判事にダメだしされたりしちゃってます。

"I would not look to the U.S. Constitution, if I were drafting a constitution in the year 2012, I might look at the constitution of South Africa. That was a deliberate attempt to have a fundamental instrument of government that embraced basic human rights, have an independent judiciary. It really is, I think, a great piece of work that was done."

 

 米最高裁判事ルース・ギンズバーグがエジプトでインタビューに応えて、アラブの春のあとに新憲法をつくるんなら、「米国憲法はおすすめできませーん。今なら南アフリカ憲法の方がいいですね。国家の根幹として基本的人権や司法の独立をちゃんと考えてるし、マジでこっちのがいいですよ」ですってさ。

 

 明日は憲法記念日なんで、憲法について考えてみました。

 実際のとこ、グローバルな視点から見たら、憲法変えた方がいいのは日本よりアメリカの方でしょ。世界の未来のためにも。

 

 日本の憲法については明日ちょこっとコメントします。ちょこっとね。

対訳アメリカ合衆国憲法