「読書は絵本に始まり絵本に終る」とも言わずにセンダックは死んでしまった

まどのそとのそのまたむこう

 

 

 モーリス・センダックが死んでしまいました。

http://www.guardian.co.uk/books/2012/may/08/maurice-sendak-dark-visions-children

 代表作は映画にもなった「かいじゅうたちのいるところ」ということになってますが、個人的に上に貼った『まどのそとのそのまたむこう』を推したいですね。

 いやこれ、うっかり子供が読んだらトラウマにならないか?ってくらい不気味な話なんです。

 センダックは「子供に嘘はつきたくない」人なので、この世界に横たわる不気味なものを遠慮なく絵本にしてきます。

 といっても、子供に悪夢を見せるような絵本ってのは、よくあるもんです。むしろ、そっちの方が「名作」として後に残りやすい。私なんかは、子供の頃「不思議の国のアリス」が怖くてしょうがありませんでした。夢オチだとわかっていても。

 「夢」というは、子供にとってリアルに恐怖の対象ですから。

 

 そんな「嘘をつかない」センダックは、電子書籍が大嫌いでした。 

http://www.guardian.co.uk/books/2011/oct/02/maurice-sendak-interview

 

>Ebooks: "I hate them. It's like making believe there's another kind of sex. There isn't another kind of sex. There isn't another kind of book! A book is a book is a book."

 

 …絵本作家とは思えないセリフで口汚く罵っています。

 しかし、子供に初めて与える本がkindleとかiPadとかって、どうですかね。

 センダックに限らず、多くの人が抵抗を感じると思いますが。

 そういえば、ちょっと前に「教科書を電子書籍にしちゃえば?」って話が出たら、猛烈な勢いで関係各所から反発がありました。これも似たような部分から「抵抗」してるんだと思います。

 でも、「何の問題があるんだ?」という人が少なからずいるのもまた事実。

 じゃあ、センダックの絵本を電子書籍で読んだらどんな感じがするだろう?

 その不気味さは半減どころか、ほとんどなくなってしまうのではないだろうか。

 「不気味なものなんか、全部この世から消えてしまえばいいんだ!」という「殺菌された宇宙(@バシュラール)」の住人は、ハナからセンダックなんか手にとりもしないでしょうけど。

 

 「不気味なもの」は、この世界に「外側」があることを教えてくれます。

 それは子供達に自由を与え、今あるこの世界から解放してくれます。

 センダックは知っていたのでしょう。「本」だけがそれを与えてくれる、ということを。

 

 R.I.P.

 

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コメント: 2
  • #1

    HビノHサエ (土曜日, 12 5月 2012 20:02)

    山形よりブログを密かに楽しませていただいております。秋口辺りにローカル子育て情報誌で絵本特集を担当する予定でおりまして、絵本を通して世界の国を紹介する……なんてのはどうかな?等々考え中です。何か面白い絵本がございましたら是非教えてください。

  • #2

    koshohirakiya (日曜日, 13 5月 2012 18:24)

    個人的にはジェイムズ・ジョイスの『猫と悪魔』がおすすめです。翻訳者が丸谷才一なんで、旧仮名遣いになっているのがちょっと子供向けにはどうかな、という感じですが。