「あなたにとって◎◎とはなんですか?」という質問って答えなくてもいいと思う

 

 「一冊だけ無人島へ持っていく本は何?」という定番の質問がある。吉川英治なんかは「自分の頭の中で小説を書いてそれを読むから持っていかない」と答えていたと思う。

 店を開いたばかりの頃、取材に来た雑誌のライターにもコレをきかれたことがあった。なんと答えたかは忘れた。いや、なんか本当に本気で忘れている。まずいな。

 では、今ならどう答えるだろう。

 

 ……って、そんな便利な本があったら誰も苦労しねえや。

 聖書やコーランで用が済む人はいいが、こちとら神様とはとんと縁がないんだ。

 しかしこれ、サンダルじゃなくてサンデル教授とやらのいぢわるな設問と似てるような気がする。

 一見有意義そうで実は無茶な、究極の選択を迫る感じが。

 多様性をばっさりなぎはらって、シンプルに考えることで「正しさ」を導き出そうとする傲慢さが。

 

 ちなみに、『ロビンソン・クルーソー』はスウィフトの『ガリバー旅行記』へのアンチテーゼとして書かれている。デフォーとスウィフトは犬猿の仲だったのだ。