ウソツキがウソをつきつつ自分のウソを信じるようになっているなんてウソなんでしょ?

 ひとつ、お話をします。

 

 昔々あるところに、A、B、Cという三人の象使いがいました。

 象使いは、象を使って色々な仕事をするだけでなく、象の売買もしていました。

 が、しかし、一つ頭の痛いことがありました。

 象は、子供から大人に育てるまで、非常に手間とお金がかかったのです。

 A、B、Cは、それぞれに象を育てていましたが、そんな面倒をかけるよりも育った象をお金で買取る方がラクだ、ということに気づいていました。多少余分なお金を払っても、です。

 そこで一計を案じました。

 Gという象使いを連れてきて、象を子供から育てることだけやらせることにしたのです。

 GにはA、B、Cから「多少」のお金を渡すことにしました。そしてA、B、Cは象の育成とう面倒ごとからはなれることが出来たので、以前よりずっと儲かるようになりました。

 でも、Gは赤字でした。A、B、Cから渡される多少のお金では全然足りなかったのです。

 そして、A、B、Cが商売の手をどんどん広げて、扱う象の頭数を増やせば増やすほど、Gの赤字はどんどん増えるのでした。

 

 とりあえず、ここまで。

 えーっと、なんの喩えかいちいち言わなくてもわかると思いますが、この“G”がGovernment政府ってわけです。

 これは、「近代的」「民主主義的」政府の核にあたることです。政府というものは本来「損を引き受ける」ためのもので、赤字が出るのが当然なんです。てか、赤字が出ない方がおかしい。

 政府が黒字なんてのは、非人道的な搾取をしているか、社会が不自然なバブル景気に沸いているか、のどちらかです。

 だから、「政府が赤字だ!巨額の赤字で大変だ!国民一人当たり○◎万円の借金になる!」とかいうのは、非常にタチの悪いウソですね。

 問題は、赤字であることではなく、その赤字の内容なんですから。

 上記のような物言いをする経済評論家は、どんなに複雑でもっともらしい理論を展開しようと、一切信じないようにしています。

 政府は赤字を出して当然で、もしそれによって破綻するとしたら、赤字の内容がおかしいからです。

 おそらく、こないだ決定した消費税増税は、赤字解消のためではなく、赤字の「つけかえ」をするためでしょう。

 巨額の赤字の数字に目を奪われて、「しかたないなあ」とか言ってる人は、だまされてるだけです。赤字なんか全然解消しませんよ。むしろ、解消したら世の中おかしくなります。

 

 お話の続き。

 

 A、B、Cからすこし離れたところに、D、E、Fという象使いがいました。

 彼らは非常に高い意識を持った高潔な人たちで、それぞれに象を育てるという面倒を引き受けていました。たがいに信頼し、信頼しつつもたがいを監視し、抜け駆けを許さないようにしていました。

 が、しかし、A、B、CがGに赤字を引き受けさせ、どんどん商いを広げてくると、D、E、Fの仕事が上手く行かないことが多くなってきました。

 そこでD、E、Fは一計を案じ、A、B、Cと同じく、Gに象育てを頼むことにしました。

 そして、D、E、FもA、B、Cと同じように儲けるようになりました。

 

 終ってないけど、無理矢理終り。

 こっちの喩えはちょっとわかりにくいと思います。

 これはつまり、D、E、Fという「共同体」が、A、B、Cという「個人」へと集約されていく、ということです。

 ここからわかることは、「個人主義が広まれば広まるほど、政府の役割は大きくならざるをえない」ということです。

 新自由主義という考え方は今も根強く、現在の与野党議員の七割方はこの考えですね。

 しかし、新自由主義が志向する「個人主義」と「小さな政府」は、本来矛盾するものなんです。個人を強くすれば政府の役割は大きくならざるをえないし、政府を小さくしようとすれば個人よりも共同体のつながりを強くせざるをえません。

 そんな矛盾を、百万言を費やしてごまかしているのが「新自由主義」と呼ばれるものです。

 一見正しいように見えて、実際は役に立たない、「永久機関」みたいなもんですね。そりゃできたらすごいけど、できるわけがありません。