なんとなくうかんだ話

 あるはれた日、おしゃかさまはひさしぶりにくもの糸をたらしてみました。

 こんどはじごくではなく、ふつうの人間たちの上にたらしました。

 するとどうでしょう、それをたぐってのぼってきたのは人間たちではなく、たくさんの神さまではありませんか。

 おしゃかさまはおどろきました。

「これはどうしたことじゃ」

 神さまたちはこたえました。

「人間がすっかり神さまにそっぽをむくようになって、みんな無職なんです」

「はろーわーくは八百万の神さまで行列ができてます」

「せいかつほごをもらおうとしたら『神さまはだめ』とことわられました」

「そのくせ『ふせいじゅきゅうしてるだろう』っていわれます」

「石をなげられました。『じゃまだからでてけ』って」

 おしゃかさまはだまったまましばらくなにごとか考えていましたが、そのうちすっくと立ちあがると、神さまたちをぜんぶ下界にけりおとしておしまいになりましたとさ。

 

おわり

蜘蛛の糸 (日本の童話名作選)