なんにもないなんにもないまったくなんにもない

 ジョン・レノンが「天国も地獄も国家も財産もないって想像してごらん」と歌っておりまして、想像するだけならなんでもないんだけど現実にはちょっと無理、てのは別に今さら言い立てるほどのこともないんですが、じゃあなんにもなくなったあとに残るのって何だろう?

 

 愛?

 プラトンは男女間の愛なんざない方が理想的で、女も子供も全体で管理して有用な人間だけを増やすべきだ、なんてナチスもびっくりなことを言ってますね。そりゃーあんたは美青年のお尻があれば生きていけるだろうけど、こっちはそうもいかねーのよ。

 

 言葉?

 プラトンは「理想国家に詩人なんかいらないよね」って言ってます。文学とかの内容はわかってはいても、感動はいっさいしなかったんでしょうね。そりゃーあんたは美青年(以下略)

 

 芸術?

 プラトンは目に見えるものより目に見えないイデアこそが大事だと考えていたわけで、芸術なんざガキの戯れと同じでした。そりゃーあんたは(以下略)

 

 なんにもなくても生きていけるのは禅坊主だけ、との意見もあるかもしれませんが、禅宗の坊さんも持ち物は結構多い。『正法眼蔵』で道元がきっちり指定してる。着替えを持て杖持て椀持て経文小刀手拭笠などなど。

 

 さて、今一番イマジンなのは誰だろう。

 きっとその人は、福島第一で働いている。線量計も持たずに。

 あの日、天国も地獄も国家も財産も、一瞬無意味になった。でもみんなそのことを一生懸命忘れたがっている。そして、「その人」だけがずっとそのままそこにいる。

 想像してごらん?