古いやつだとお思いでしょうが古いやつほど新しいものを欲しがろうとしないものでござんす

 つい最近、まるでSFのような事件がありまして、いやーほんとに21世紀になったんだなあ、おじさんびっくりしちゃったよ、なんて思いました。

 しかし、話には聞いてましたが、パソコンのウィルスってのはすごいですね。てか、コンピューターってものがそもそも「オープン」なもので、それを「パーソナル」にしちゃおうってとこに無理があるのかもしれませんね。その矛盾をついてくるウィルスの方が、実は本来のコンピューターに近い「思想」を持っているのではないでしょうか。

「秘密」ってのはやっぱり、「記号」ではなく「もの」でやりとりすべきですよ。

 

 さて、この「ウィルスでパソコン乗っ取り事件」ですが、一人冤罪で自白しちゃってたりするそうで、この件を聞いてちょっと思い出したことがあります。

 

 昔、飲み屋で隣り合わせた男から聞かされた話。

 ……その日はなんとなくヒマだったので、なんとなく友人を呼び出して、なんとなく遊びたくなった。そこで、なんとなく電話をかけた。ちなみに当時はまだ、ケータイもナンバー・ディスプレイも普及していない。

とぅるるるる、とぅるるるる……がちゃ

「はい、◎◎警察」

 一瞬ひるんだが、警察にかかるわけがないのでいつもの調子で喋りかけた。

「ばーか、なにつまんねえことしてんだ。それより今ヒマ?」

「失礼ですが、どちらにおかけですか」

「何言ってんだ?」

「どちらにおかけですか」

 相手の声の調子が変わらないので、少し不安になって来た。

「……○△だろ?違うの?」

「失礼しました。○△さんなら間違いではありません。○△さんは今朝方亡くなりました」

「え」

「失礼ですが、あなたのお名前ご住所電話番号をお聞かせ願えますか」

 まるで安いミステリーの出だしみたいだが、本当のことだという。しばらくして警察から呼び出しがあり、そのとき○△は殺された疑いが強いことを聞かされたそうだ。

 さて、それからお定まりで「参考人」として聴取を受け、それはそれはねちねちねちねちねち取り調べられたという。普通に考えれば、殺人の容疑者が現場に電話するわけがないし、うっかり電話で「警察」を名乗った刑事もアホなんだけど、そんなことはお構いなしに取り調べはどこまでも延々と、シベリア鉄道のように長く冷たく厳しく続いたのだった。

 おかげで彼はすっかり警察が嫌いになり、大好きだった刑事ドラマも「あんなの嘘ばっかだよ!!」と見なくなったとのこと。

 

 取り調べの内容もそのときぐだぐだぐだぐだぐだと聞かされたのだが、なにしろ二人ともしこたま呑んでいたもんであまり憶えていない。残念ながら。

 ただその時はっきり思ったのは、(できれば警察とは関わりあいになりたくないなあ……)ということだった。

 

 しかし、起きた事件は21世紀な感じなのに、警察の方はずーーっと20世紀のままとどまってるんだね。

 でも、こういう「食い違い」はこれからもそこら中で起こるだろう。

 それでも20世紀にとどまりたい人は、ずーーーっと21世紀に苦しめられるだろう。降りしきる雨の中を、傘もささずに延々と歩いていくように。この場合、苦しめられる20世紀人てのは、警察のことではない。大して知識もなくパソコンをいじっている人たち、つまり今回警察がうっかり逮捕して自白させてしまったような人たちだ。警察は苦しんだりしないからね。いつのどんな時代でも。

 

 ところで、前述の殺人事件についてだけど、その後飲み屋でその男に会うことはなかったのでわからない。もし犯人が捕まっていなければ、とっくに時効になっているはずだ。

コンピュータウイルス製造入門

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コメント: 1
  • #1

    Linnea Udell (土曜日, 04 2月 2017 06:23)


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