ダーウィンが来たよ〜Part2

 えーっと、ちょっと前回の補足です。

 アメリカには「進化論否定論者」が山ほどいます。

 これ、よく「アメリカ人って、けっこうアホ」というネタで使われますね。いやまあ、そういう人たちもいるにはいます。キリストの再臨をガチで信じてたりとかね。しかし、もう少し別な理由で進化論を否定してる人もいるんです。

 

 ダーウィンの進化論は近代社会にとてつもない影響を与えました。それは良い影響ばかりではなくて、「適者生存」というのを社会へと拡大した、「社会進化論」なんてシロモノを唱える人を大勢生み出しました。

「人類はどんどん進化してるんだ。だから遅れてる奴らはどんどん淘汰されるべきだ。皆殺しばんざい!」

 なんか幼稚な感じですが、実際幼稚なんだからしゃーない。しかし、幼稚な考えほど多くの人を魅了するし、実際今でも形を変えたものが出回ってます。

 ちょっと前にふれた「優生学(人種衛生学)」なんかもその流れですね。フランシス・ゴルトンてのが創始者なんですが、この人はダーウィンの従兄弟だったりします。ダーウィンもちょっと評価しちゃったりしてますね。

 これらの幼稚な「思想」はやがて白人至上主義からアーリア人至上主義となり、ナチスの思想的バックボーンとなっていきます。

 

 それから、マルクスの階級闘争史観がダーウィンの影響を受けたものだ、と言われているというのも嫌悪される一つの要因です。マルクスは最初、資本論にダーウィンへの献辞をつけようと考えていた、という話もあります。エンゲルスなんかは「しょーもない少数民族は歴史的に消滅する運命なんだ」なんて明言してますし。

「あれ?民族自決とか言い出したのって、マルキストじゃなかったっけ?」と言う人もいるかもしれませんが、言い出したのはマルクスじゃなくてレーニンです。そして、世界で初めて「少数民族の保護」を政策として打ち出したのはスターリンです。げげげ。でもイデオロギーに反することをやらかすと、とたんに手のひら返されましたが。

 そしてそのころ、ソ連ではダーウィンの進化論ではなく、悪名高き「ルイセンコ学説」が幅をきかせていました。

 

 とまあ、いろいろ複雑というか、こういう社会への流布という面で、進化論ってあんまり進化してないのかな、って感じもしたりしなかったり。

 つまり「進化論を学校で教えるな」って人々の中には、「馬鹿なガキにいらん知恵がつけると、弱者を平気で虐げるような人間になりかねない」と懸念する人もいるわけなのです。子供って、ただでさえ「弱肉強食」が好きですからねえ。

 別に進化論そのものを否定してなくても、「何も知らない子供に教えるな。もっと社会経験を積んで大人になってからで良い」ということです。なんかポルノみたいだね。

 

 こういうのは単純に見えて難しい問題ですね。

 キリスト教原理主義者でなくとも、「ダーウィンは戦争と虐殺に科学的根拠を与えた」とダーウィンを批判する人がいたりするんです。

 木村資生の「中立進化説」をもっと簡単に説明できると良いんですが……

 今西錦司はちょっと正当とは認められてないし。

 ネオ・ダーウィニズム?あれ、教え方によってはいっそうやばくなりませんか?

 

 ちなみに、前回触れたBroun君は、まぎれもなくキリストの再臨を信ずるお馬鹿さんなので、遠慮なく指さして笑ってあげて下さい。

 

 

生物進化を考える (岩波新書)