初版は本当に初版なのかということについてのメモを少し

○奥付を付けるのは江戸時代から。松平定信が出版を管理しやすいように命じた、とされている。(異説有り)

 

○昔の奥付はいい加減なものがあった。いかにも売れているかのように見せかけるため、初版なのに奥付には再版としたものもあった。

 

○奥付にも誤植がある。一番有名なのは福武文庫。1996年刊行のものの多くが1999年になっている。今ではどっちやらわからなくなってしまった。今まで見た奥付で一番すごいのは1274年刊、というもの。もちろん1974年が正しい。残念ながらタイトルは忘れた。申し訳ない。

 

○吉田精一他編『現代詩評釈』の初版は昭和四十三年三月。しかし、昭和四十四年四月初版となっているものも出回っている。五味智英編『萬葉集必携』も初版は昭和四十二年八月のはずが、のにち再版が出た際なぜか初版の日付が四十四年四月十日に変えられた。理由は推測の域を出ないが……

 

○たとえば昭和三十七年に学士院恩賜賞となった笹淵友一の『文學界とその時代』下巻の奥付は、昭和三十五年三月二十五日初版、三十六年七月一日再版、とされているが、昭和三十五年にこの本は刊行されておらず、この初版は存在しない。

 学士院恩賜賞はある程度年数がたって評価の定まった本にのみ与えられるので、このような苦肉の策をとったらしい。上記二冊も似たような事情かと思われる。

 

○奥付は慣習なので、間違っていても罰せられることはない。困ったもんだ。

 

 

古本屋開業入門―古本商売ウラオモテ