店に来たお客様がもらす感想は多々あるが、中でも多いのが、
「わー……ほこりくさーい」
すいませんね。
気を使って「古本のにおいがする」と言って下さる人もいる。
長いことやってると「においが身体に染み込むよ」と笑う老舗の店主もいる。
「あんた古本屋だね?においでわかるよ」なんて、へたくそな小説のワンシーンみたいだ。
今日購入した本は、開くと火薬のにおいがした。
硝煙の名残ならドラマチックだが、おそらくは花火のにおいでもとじこめられていたのだろう。
本のタイトルは『外国新聞雑誌研究』、大正十三年に刊行された雑誌で、そのうちの九冊だ。
ナチスがドイツの「秘密結社」として紹介されていて、変に若いヒトラーの写真が載っていたりもする。
そういえばそろそろ旧正月だ。
中華街はまた火薬のにおいでいっぱいになるのだろう。
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