もし狼男がハゲてきたら満月を憎むことだろう

 左手首を骨折したところ、NHKスペシャル『驚異の小宇宙 人体』ですらふれていない、不可思議な現象が起きてきた。

 手首の周りだけ毛深くなってきたのだ。

 サポーターをはずすと、折れた周囲だけ若々しく黒々つやつやした体毛が早春の草原の如く萌えいだしている。なんじゃこら。右手首と較べると明らかに違いがわかる。そのうち全身に及んで、満月の晩に人を襲いたくなったりするのだろうか。じゃあ、しっかり歯を磨かないと。虫歯の狼男なんて様にならない。

 狼男と言えば、映画『カオス・シチリア物語』のエピソードは良かった。ここに出てくるサロという色男がすごくいいのだ。狼男じゃなくて色男の方。イタリアの文化の根源は狼男より「色男」なんだなあ、とよくわかった。ドイツならきっと逆だよね。ナチス末期に「狼男部隊Werwolf truppe」とか作ってるし。でも日本は銃社会じゃないから、銀の弾丸で撃たれる気遣いがなくていいな。だけど怪物くんの子分みたいに、月見うどん見るたびに変身すると困るか。月見、けっこう好きなのに。

 で、リハビリしながら病院の人にそれとなくきいてみたら、身体が折れた骨を治そうとしていて、それにつれて他の細胞が活発になっているのだろう、とのこと。うーん、無難な解説。しかしまあ、今まで半世紀生きてきて一番毛深くなってるんだが、私の手首にはこれだけの潜在能力というか、潜在活毛というか、カロヤンハイというか、そいう生命力みたいなものが隠されていた、ということなのだろうか。なんという生命の神秘。

 では、この細胞の働きを研究すれば、人類の永遠の希望、「毛生え薬」が出来るのではなかろうか。

 とりあえず、毛を生やしたい部分の骨を折る。なので、ハゲの人は頭蓋骨を……無理っすね。

 私の場合、まだ頭部はそれほどでもないけど、眉毛が薄くなってきたので眉の辺りを……て、なおのこと無理だ。

 

 そんなわけで、人体にはまだまだ尽きせぬ謎に満ちているなあ、と感慨深い今日この頃なのでありました。でも、最近、犬歯が鋭くなってきてるというか、犬歯以外の奥歯もギザギザしてきてんだよね。なんで?ああ、老化現象か。ちぇ。

 

 

 

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