高校生でもわかる「TPPの何が問題なのか」

 えー、毎度のことながらまたエラそうなことを書かせていただきます。

 だってさー、反対派も賛成派もよくわかんないまま論じてるみたいなんだもん。ちゃんと根っこのとこを押さえといた方が良いと思って。例によって「けーざいがく」の知識なんか一ミリも要りませんので、ご安心を。本当は「中学生でもわかる」にしたかったけど、ウチの中二の娘にきいたら「てぃーぴーぴー?知らない。また48人集めるやつ?」とかぬかすんでやめました。

 

 TPPについては連日新聞やテレビでわーわー言ってるんで、どういうことをやるのかだいたいお分かりのことと思います。

「聖域なき関税障壁撤廃」でもって、経済的な国境をなくしちゃおう、という新自由主義者が満面の笑みでブレイクダンスを踊り出すようなすばらしい協定です。

 そこで日本にとって問題なのは、「安い農産物が際限なく輸入されるんで農業が破壊される」というもの。んで、メリットは「自動車とか輸出しやすくなる」ということ。なんでこんなおおざっぱに書いてるかというと、これらの事柄は表面的な問題にすぎないからです。ぶっちゃけどーでもいい。

 

 さて、本題に入るために、まずは国家についての基本的なとこを押さえておきます。

「民主主義」ってものが日本に根付いて長いですが、この「民主主義」ってのはどういうメリットを持ったシステムなのか、というと、民衆がでたらめに「搾取されない」というのがひとつあります。昔のヨーロッパとか、王様が宮廷の楽団を維持するために増税したり、全然メリットのない戦争に首突っ込んで増税したり、そんなことがしょっちゅうでした。民衆が政治参加できないと、「生かさぬよう殺さぬよう」どころか「生かさぬよう適度に死ぬよう」になっちゃうんですね。

「搾取されない」ためには「政治参加できる」ことが重要なファクターなんです。

 

 そして次に、国家主権というものの中に「関税自主権」てのがあります。

 関税を自国で決定できる権利ですね。なんでこういうのがあるかというと、自国民が他国に搾取されないようにするためです。民衆の参政権は自分が住んでる国にしか及びません。国境ってもんがありますからね。だから関税自主権がないと、自国民が他国に搾取され放題、つまりは植民地になっちゃうんです。

 

 さあ、そこでTPPですが、これはお互いに関税をいっせのせでなくそう、というものです。一見対等で平等でごまかしがないように思えます。

 でもこれ、要するに「お互いを植民地化し合う」ことなんですよ。

 だから、双方の国の上層にいる人間が、相手国の下層にいる人間を好き放題搾取できるようになるんです。だって、下層の人たちの参政権は、国外の上層の人への圧力になりませんから。

 そうするとどういうことがおきるかというと、格差がとんでもなく開きます。そして、その開いた格差が固定化します。

 もし本当の本当にTPPをやるなら、聖域の存在を確認とかいうおままごとはやめて、米大統領選に日本人が投票できたり、日本の国政選挙にアメリカ人が投票できたり、そういう風にすべきですね。でもそんなことは無理でしょ。無理なのにやろうとしてる。なんでかというと、そのまんまのほうが、上層の人たちすなわちお金持ちの方々がよりいっそうお金持ちになれるからです。

 こうしてみると、なぜ日本の方が熱心で、アメリカの方は盛り上がりが今ひとつなのかよくわかりますね。アメリカはちゃんと民主主義の国だからです。できるだけ「確実に勝てる相手」としか協定を結びたくないわけです。アメリカが日本に押し付けてきてる!とかいう反対派の人は、向こうの政府のHPとかちゃんと読んで下さい。今やネットの時代なんですから。

 そしてまた反対派の人が言うような「ただ農家が困るだけの問題」じゃない、というのもこれでわかったと思います。

 賛成派の人は、経済学的なジャーゴンをだらだら並べて煙に巻くことしかしないんでしょ。株価がどんなに上がっても、失業率がどんなに下がっても、「生きてるだけでありがたいと思う」なんて、ちゃんと自我を持った人間には出来やしないんですよ。

 別にあなたが資産家の大金持ちだったら賛成してもしょうがないけど、わたしゃしがない庶民なんで、こんなもん賛成できるわけがない。

 

 今これ、わかりやすくTPPを例にとって喋ってますが、元々は経済的「グローバリズム」てやつの根本に関わる問題なんであります。なんで「グローバリズム」が広まると、それにつれてどんどん格差が広がるのか、てのはこういうことなんです。

 こんなわかりやすすぎる図式的なもんじゃなくて、もっと本格的に知りたい人は、P.ブルデューとか読んで下さい。

 

国家貴族 〔エリート教育と支配階級の再生産〕 1 (ブルデュー・ライブラリー)  

 

 あー、ところで、新自由主義者って、つまりは「お金持ちのアナキスト」なんですね。

 昔々アナキストは貧乏人がなるもんでしたが、今はお金持ちがなるわけです。

 こういう人たちにとって、今や「経済学」は一種の「洗脳ツール」でしかないのでしょうな。

市場独裁主義批判 (シリーズ社会批判)