吉祥寺の駅前、バスや自動車がひっきりなしに往来する道を、ハクセキレイが渡るのを見た。
鳥は飛ばずに、歩いて道路を渡った。
そうするのが人間たちへの「礼儀」だとでもいうように。
二年前、この辺りは、大勢の人たちが誰も彼も灰をかぶったような顔をして歩いていた。
駅の入口には巨大なシャッターが降り、近寄るとそれは細かく震えていた。
あれから多くの人たちが多くのことを語ったけれど、時が立つにつれ耳から流れ出てしまった。
自分でも書くべきことをいろいろと考えてみたけれど、花粉症でくしゃみをするたびにちり紙と一緒に捨ててしまった。
三月の道をセキレイ踏み固め
(セキレイの季語は秋だけど)
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