なんか「親」ばっかり疲れるよな

 世の中には「理想の子育て」てのがありますそうで。

 こうやって子供を育てると、成績がぐんぐん良くなって運動会ではいつも一番でクラスで積極的に発言する学校中の人気者、てのになるとわざわざ教えて下さってるわけです。

 有名なグールディング夫妻の〈子供に言ってはいけない言葉〉は以下になります。

 

1.おまえが男(女)だったらな

2.遊んでる暇があったら勉強しろ

3.子供なんだからまだ無理だ

4.おまえは肝心なところで失敗する

5.忙しいから○○できない

6.おまえはバカね。不器用ね。

7.自分の家はよそと違う

8.むやみに人を信用してはいけない

9.体が弱いのだから無理をするな

10.親のいうことを黙ってきけ

11.泣く子は嫌い

12.おまえなんかいなけれがよかった

 

 うっわああ……けっこう言っちゃってるよ。

 てか、私が言ってなくても妻が言ってたり、その逆だったりで、ほぼ全部網羅してんな。あ、でも2.は両方とも言ってるか。だってほっとくとテレビばーっか見てんだもん。

 つまり、ウチの娘に問題があるのはすべて親のせいであると、リストの作者はこういいたいわけですな。うるせえや。

 てかこれ、私自身も子供の頃に全部言われた憶えがあるんだけど……

 ここでおっさんが幼い頃のトラウマ話なんか始めた日にゃ、ブログから梅雨時のぞうきんみたいな臭いがしてきそうなんでやめときますが、「あ、オレも全部ある」って人、けっこう多いんじゃないでしょうか?いかがでしょう。少なくとも八つくらいは普通にクリアしてるでしょ。

 これって要するに、ほっといても子供が抱いてしまう「不安」を書き付けただけですよね。こうやってリストアップしておくと、たとえ親がそう言わなくても、周りの人間から言われたりそれっぽい態度を取られるだけで、子供は自動的に傷ついて、その傷は親のせいになる……とこういうわけだ。こういう「理想」を言い立てる人って、「あなたは世の中に矛盾を感じませんか?」と勧誘してくるカルト宗教と似てるような気がするんだけど、さすがにそれは言い過ぎかな。

 さて、なんでこういう「不安」を子供が抱いてしまうのか、それはこのリストを裏返してみるとわかります。

 

1.ウチの親が大金持ちだったらなー

2.勉強してる暇があったら遊びたいよ

3.大人なんだから全部やっといてよ

4.親って役に立たないよね

5.ヒマだけど○○したくないな

6.大人ってえらそうなわりにできないこと多いよな

7.よその家の子になりたい

8.みんなオレのいうことを全部信じてくれたらいいのに

9.病気になってちやほやされたいな

10.子供のいうことは黙ってきいてよ

11.怒る親は嫌い

12.親なんかいないほうがいいよな

 

 いかがでしょうか?

 つまり、こういう「欲望」が屈託すると、子供は自動的に「不安」を抱いて傷ついてしまうわけです。そしてその傷を「全部親のせいだー!」とするのが上記のリストなわけです。しかもみんな身に憶えがあるから、なんとなしに受け入れられてしまうんですね。ちなみに、こっちの裏返しリストも全部憶えがありますな。みなさんもそうでしょ?

 ガキのトラウマなんざ、てめえの投げたボールが跳ね返って自分に当たってるようなのがほとんどなんだから、実際傷ついて泣きわめくんで対処に困るってな程度のしろもんで、親がボールから身をかわしたってほとんど無駄なんじゃないのかな。てか、こんなの傷のうちに入らんよ。つばつけときゃ治るわい。

 

 まあ最初のリストなんかは実際に子供がいたら「けっ」と思うレベルなわけですが、問題はまだ親になる前の若者がこれを鵜呑みにしたらどうなるか、ですね。

 自分のトラウマ(?)を全部親のせいにするだけならまだしも、怖くて子供なんか作れなくなるんじゃないでしょうか。

 そういや最近、「親学」とかいうもんがあるそうで、こんなアホの国からアホを広めにきたような人たちの言うことなんか真に受けたら、そりゃあ少子化も進行しますわな。

 

 世の中のオトナな人たちって、本当は子供より「親」が嫌いなんじゃないのかな。

 いい歳こいたおっさんどもが理想の「親」なんか探し求めてるから、「親」になりたがる人が減るんじゃねえの?

 

親学のすすめ―胎児・乳幼児期の心の教育