あの時の歌はまだ聴こえるか

 なんか、アインシュタイン・フォーラムで「ボブ・ディランにノーベル賞を」という動きがあるそうで。


International conference: Bob Dylan and the Nobel Prize

http://www.eurozine.com/articles/2013-04-29-newsitem-en.html

 

 うーん、とったら面白い。個人的にはとったあと拒否して欲しいけど、しないだろうな。

 

 先に上げた動画のMaggie's Farm ってのは、「マギーの農場ではもう働きたくないよ!」って歌です。これ、こないだ亡くなったサッチャー批判の歌とし有名なんですが、最初はそんなつもりで作られたわけではありませんでした。

 貧しい農場労働者たちの気持ちを歌ったわけで、その農場労働者たちはどのように生まれたかというと、アメリカ農業の大規模化につれて生み出されたのです。なので一応「奴隷」というわけではないんですが、その生活は奴隷並に貧しい。この辺りの事情は、アメリカ史の本を読んでも余り詳しくは出てきませんね。しかしその状況は、スタインベックの代表作『怒りの葡萄』『二十日鼠と人間』に的確に描写されています。

怒りの葡萄 (上巻) (新潮文庫)二十日鼠と人間 (新潮文庫 ス 4-1)

 

 よく「アメリカは農業を大規模化させて成功した!」なんて人を見かけますが、成功の影には多くの犠牲者がいたのです。

 そしてその「犠牲」は、現代においてもなお続いています。

 

 ボブ・ディランは、大規模化に押されて貧しくなった家族経営の「農家」を助けるため、ジョン・メレンキャンプやニール・ヤングらとともに、ファーム・エイドというコンサートを毎年のように行っています。

  そして、上の動画は、そのファーム・エイドでMaggie's Farmを歌うボブ・ディランなわけです。

 

 まあそれにしても、ボブ・ディランが一九九六年からずっとノーベル文学賞にノミネートされていたとは知りませんでした。

 村上春樹より先にとって欲しいものですね。でも、平和賞の方が可能性があるんじゃないかって気もしますが。