そうめんはなぜ美味いのか

 これから暑くなるにつれ、そうめんの季節になってくる。

 そうめんといえば、最近は『揖保の糸』が定番ということになっているようだ。どこのスーパーでもたくさん置かれていて、インスタントラーメンにおけるサッポロ一番のような立ち位置にあると見受けられる。

 ところでこの揖保の糸。そうめんとしてはやや高い。300gで350円ちょいとか、豚肉なみである。スパゲッティなら1㎏買っておつりがくる。しかもあまり極端な安売りをしない。せいぜい280円くらいか。先日258円になっていたのを見つけて「おっ」と思ったら、「お一人様一点限り」だった。せこい。まあ、買ったけどさ。

 文句があるなら安いのを買えばいいのだが、安いそうめんって、はずれを引きやすいんだよね……

 安さにつられてそうめんを買って、それがはずれだったときの「とりかえしがつかない」感はなかなかしんどいものがある。真夏などは一挙に不快指数が増す。東海林さだをならここで、とりかえしがつかないという表情でそうめんをすするイラストをいれるところだ。

 しかし、不思議なんだが、なんであんな小麦粉を細くしただけのしろものに、きちんと美味い不味いがあるのだろう。それも一般人にもはっきりと感じられるくらいに。感じていなかったら、あんなに揖保の糸ばかり売れたりはするまい。安くもないのに。

 安いそうめんは、たとえ不味くなくても、「まあこんなものか」という味になっている。だけど、その味の差をいったいどこで感じているのか?そうめんは口の中でしっかり噛んだりしない。下手するとすすって飲み込むだけだ。やはりのどごしか。それともほのかな香りか。香りなんか、めんつゆで打ち消されてしまうと思うが。

 

 こういう日常のかすかな「謎」は、謎のままほっておいた方がいいように思う。少なくともその方がそうめんを美味く食べられる。

 そうめんを上手にゆでるのはたいしたコツなんか要らない。ただ、たっぷりお湯をはってから麺をぶち込み、煮立ったら水をコップに半分ほど入れ(びっくり水ってやつ)、また煮立たせればいいだけ。二分とかからん。注意したいのは、大量にゆでるのは御法度ということ。多くても二束まで。

 むしろその後のすすぎが肝心だ。麺の中心から熱をすべて逃がしてやるように、氷水に最低二回はさらし、しっかりと水を切る。これだけでかなり違う。しかるのちにまたたっぷりの氷水に入れてやるのだ。

 あと、伸びると不味くなるので食べ残さないこと。そして、食べ残しをレンジでチンするなどもってのほかである。命に代えてもしてはならない。

揖保乃糸素麺・特級品縄縛り 50g×20束