「全て集めてある」から「全集」なんてことは全然ない

川端康成の全集未収録41点 「浅草日記」「今日の扉」

http://www.asahi.com/culture/update/0608/TKY201306080058.html

 

 川端康成の全集の欠落が、つい最近になってこんなに見つかったそうです。

 最後に全集がでたのが八十年代ですから、三十年以上もの間編集や文学研究者は何やってたんだ、てな話です。

 でもこれ、個人的にはちょっと引っかかる部分もあるんで、評価の方はとりあえず置いておきます。でもまあ、見つけた人はたいしたものです。こちらは素直に褒めたたえたい。

 

 さて、「全集」と銘打つからには細大漏らさず少年時代の落書きまで収録すべきだ、とまで編執じみたことは言いたがる人も多いんですが、割と間違いやミスが多いのもまた「全集」というものなんです。

 大体、ほぼ最初に出た文学全集と言っていい「漱石全集」は、初版が誤字脱字だらけで、版を重ねてもなかなか全部は直りませんでした。

 あと記憶にあるところでは、中原中也全集については先日述べましたが、野間宏全集も長編が一つ、未完ではありましたがすっぽ抜けてました。他の未完の小説は収録されていたので、全くのミスかなんらかの事情があったのでしょう。

「なんらかの事情」というのもアレですが、出版社同士の権利関係とか、へんてこなごたごたが時折起こるようです。みんな口つぐんじゃうんではっきりわかんないんですけどね。

 逆に『定本 柳田國男全集』なんか、初版は同じ論文が六回も重複してのっかっちゃってました。おまけにこの全集、生前の柳田の意見を容れて作ったもんで、柳田が気に入らない未熟な論文、若書きのエッセイの類いは全部省かれてます。別巻五に省かれた分の目録がありますが、それでも足らないくらい。今は一応ちゃんとした「全集」が編まれてはおりますが、さて、大丈夫かどうか、太鼓判を押せる度胸はありません。あ、『定本 柳田國男全集』の初版は先述のような理由でとんでもなく安いので、もし古本屋でむちゃ安い柳田全集のセットを見かけたら奥付をチェックして下さい。

 

 しかし本当の問題は、この「新発見」を収録し直した「ノーベル文学賞受賞者」の全集を作ったとして、今どのくらい売れるのかということですね……

 ちゃんと売れるものなら、しょっちゅう校訂、改訂されてるはずですから。

 

 

全集総合目録〈2001〉