松浦一って聞いたことがありますか?

 松浦一(まつうら・はじめ)は昔々の日本の文学者です。中大で名誉教授もしてたそうです。

 著書は何冊かありますが、どれもたいくつな評論です。小説や詩など、創作っぽいことはしていなかったようです。

 と・こ・ろ・が……一九五一年版のブリタニカ(もちろん英語の方)のJAPANの項目において、この松浦一こそが「日本の文学史上のもっとも優れた伝統を守った唯一の文学者」であると紹介されているのです。漱石、芥川、谷崎なども名前が出てはいますが、それらの大御所を差し置いて、『文学の本質』とか『文学の神性』とか『文学の白光』とか、そんなのしか書いてない松浦一が日本文学の代表だなんて、びっくりしますね。

 

 

 とはいえ、もう「紙の本」の形でのブリタニカは存在することがなくなりましたので、こうしたご愛嬌が今後あったとしても、さっさと修正されるようになってしまうのでありましょう。

 以前は「何とも思わない」と書いたのですが、こういう「失敗」てのがちゃんとあとに残る、というのは良いことかも知れない、と最近考え直しました。

 失敗してもさっさとログを抹消して口を拭ってしまえる、というのもデジタル時代のやらしい部分だな、と思いまして。「デジタルでも後に残ることもある」てのは知ってますけどね。どこぞのキャッシュとか。

 でも「一度形になるとなかなか消えない紙の印刷物」より、キーボードを茶かポコ叩いての発言の方が、より無責任なものになりやすいんじゃないでしょうか。

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コメント: 1
  • #1

    水木 敏秀 (月曜日, 03 10月 2016 20:42)

    白凰社から「名訳詩集」という和訳詩集が発刊されています。その中で松浦一先生がタゴールの作品を5作翻訳しています。私は長きに渡り様々なタゴール詩集(和訳)を読んできましたが、世界文学と仏教思想を兼ね備えた松浦一先生の翻訳を読むと他の翻訳家の物がタゴールの世界観を全く理解せづ翻訳されていることに気付きました。。因みに、芥川龍之介も松浦一先生の講義を受けています。恐らくは無いであろう松浦一先生翻訳のタゴール詩集を私は30年以上探しています。