タイサンボクの花が咲いていた

タイサンボクの花
タイサンボクの花

 このところ、夜になると酷く咳が出る。しつこいときは、ほぼ一晩中だ。昼間はなんということもないので、老化現象の一つなのだろう。父はよく夜になると蒸気の出る機械でもって、ノドの奥を温めていた。

 昨晩は咳止めの薬を少し大目に飲んで寝た。それでも小一時間ほど苦しめられたが、やがて薬が効いてきて数日ぶりに深く眠ることができた。

 

 眠りが深い時はよくわかる。なぜか読書する夢を見るからだ。

 いつも同じ本を読んでいるようだが、いっこうに読み終わらないし、起きた時に内容をすっかり忘れている。

 

「そろそろ起きなさーい」という妻の声で、観念して眠気を頭の中から払っていく。「コーヒーが冷めちゃうよ」

 珍しく娘がコーヒーを入れてくれたので、それを飲みながら新聞を読んだ。娘は昨日期末テストが終り、すこぶる上機嫌なのだ。

 昨日までの雨があがったので、たまった洗濯物を片付けることにした。

 家事をする時は、必ず頭の中にたまりがちなゴミを払い落としてからやるようにしている。さっき起きたとき、眠気を頭から「払った」のと同じ作業だ。このゴミが上手く払えないと、体がスムーズに動かなくなる。

 

 妻が茶道の教室に行くのを見送った後、洗濯機を二回まわしてベランダに洗濯物をずらりと並べた。

 二杯目のコーヒーを飲みながら、「そろそろ行かないか」と娘に水を向けてみた。今日は本屋で新刊を買った後、図書館の下のギャラリーで金魚の絵(?)の展覧会を見る手はずになっている。

 娘がYouTubeでアニメを見ながら「まだいいよ」とぶっきらぼうに言うので、三杯目のコーヒーをおかわりした。

 

 ややあって娘が「そろそろ行こう」と声をかけてきた。飼っている黒猫に留守番をたのんで外に出た。

 雨上がりの空気は水の臭いを含んでいて、吸っているだけで喉が楽になるような気がする。空には子供が塗りたくったような調子で、白い薄い雲が広がっていた。

 いつも通り抜ける大学の敷地には、大きなタイサンボクの樹があって、それが白く円くゆったりした花をつけていた。

 花言葉は、「威厳、高貴、前途洋々」

 

 さて、前途は曖昧模糊としているが、とりあえず本日は娘に本を買ってやり、妻と待ち合わせてファミレスで食事をすることができた。

 

 

 夢に出よ タイサンボクの花に恋う

 

 

泰山木の木