ちょっと英語についてひっかかっているというか不思議に思っていることを二つばかり

 ちょっと前に書こうとして書かなかったことを少し。

 昔からよく、「欧米人はイエスとノーをはっきり言うが、日本人はあいまいにする」という比較文化論めいたものがあります。

 確かザ・ニューズペーパーとか言った、風刺的な喜劇をやっていた集団の持ちネタで、アメリカ人から「Say, YES or NO !」と問いつめられた日本人が「or !」と答えるギャグがありました。

 しかし、アメリカ人だってそうそうきっぱり答えられることばかりじゃないんだし、裁判ともなれば言いよどむ部分も出てくるだろうに、そう言う時はどうしてるんだろう?という疑問がありました。

 これは簡単な話で、そういうときのために「黙秘権」てものがあるんですね。

 しゃべると自分が不利になる、というのは、イエスと答えてもノーと答えても不利になる、という局面のことを言うのです。

 たとえば離婚訴訟で、

 Have you stopped beating your wife?

 と訊かれたとすると、ノーなら妻を叩いていることになるし、イエスなら以前叩いたことを認めることになります。欧米の裁判てのはこういうひっかけがしょっちゅうあるんで、それで「黙秘権」が基本的な権利として認められてるんだとか。

 日本人は「黙ってるってことは怪しい」とか「黙ってるってのは認めたと同じだ」と疑う風潮が根強いので、ここらへんにずれがあるようです。おそらく、やたら取り調べで自白を強いるのも、こういうところに起因しているのでしょう。

 でも今時自白偏重なんて、国際的には「中世と同じ」と言われちゃうんですよねえ。

 ……「しゃらっぷ!」とか、カタカナどころかひらがな発音ですな。だいたいイイ大人の使う言葉じゃないし。これでハーバード出てるとか、ウソやろ。

 

 お次はこの記事です。

 

" I like dog." と言ったら「えっ、犬の肉が好き!?」

http://diamond.jp/articles/-/37708

 

 またもマーク・ピーターセンであります。

 別に内容に否やはありません。英語の冠詞は重要だし、単数か複数かで意味合いが変わってくるのも、日本語とは違います。

 これ、日本の小説を英訳する時、向こうの人間が一番頭を悩ます部分で、リービ英雄が安部公房の小説を訳した際、「これは単数なのか複数なのか」ときいたら「わからない」と言われて驚いた、ということをエッセイで書いています。

 

 さて、たしかに日本語は一本でもにんじん♪ですから、普段は単数か複数かにそれほどこだわりはありません。

 しかし、youあなたと言うとき、そのこだわりは逆転します。

 英語は、一人でも一億でも、youです。どちらなのかは文脈から判断するしかありません。

 日本語で「あなた」「君」と言えば、それは目の前の「一人」に限ります。二人以上なら「あなたたち」「君たち」で、複数者に「あなた」「君」と言えば、そのうちの一人を対象に話しかけていることになります。

 

 なぜyouあなただけが、こんなふうに逆転しているのか。

 おそらく日本語が、主語よりも目的語をベースに、時には目的語を主語にして語られること(「ビルが建っている」の類い)が多いからではないか、と推測します。

 

 まあそれにしても、ピーターセン氏は「英語が一番難しい」と答えているのはニヤリとさせられますな。日本人が「日本語は難しい」と考えたがるのと同じで、どんな国の人も「自分の国の言葉が一番難しい」と言っては、日々言葉と格闘しているのでありましょう。