まあそんなこともあったりなかったりするのが世の中というものなので

 調布の今は「鬼太郎通り」と通称されている商店街が、まだ天神通という正式名称しか持たなかった頃、通りの中ほどに小さな焼き鳥屋があった。

 店の造りは少しボロかったが、安くて美味いということで「ぴあ」にも一度載ったことがあった。店頭で焼き鳥のお持ち帰りもしていて、学生時代の私は、冬の宵の口などにそこで二串ほど買っては店のワキでぐいぐいと喰らい、小腹を満たすことを時々していた。

 もうもうと脂の灼ける煙のあがる先、その店のちょうど真向かいにペットショップがあった。ペットショップといっても扱っているのは小鳥ばかりで、風向きによっては店頭の小鳥たちの籠に焼き鳥の煙が流れ込み、その度に文鳥やらセキセイインコやらがピョーピョーギャィギャイと騒ぐのだった。

 どうしたわけでこの二軒が、このような位置で営業することとなったかはわからない。

 そんな風景を、口のワキについた焼き鳥のタレを拭いつつ、ぼんやり眺めるばかりの私なのであった。

 今、もうその店は二軒とも存在しない。

 

 就職して一人暮らしを始めた頃、環状七号線をへだてた向かいにラーメン屋があって、ときおりそこで晩飯を食べていた。

 隣にはけっこう大きな病院が建っていて、救急医療も受け付けているらしく、ラーメンを食べているといきなり店内がサイレンの音と光でいっぱいになることもあった。

 そのラーメン屋が店をたたみ、すっかり更地になったところで工事が始まった。どうやらけっこう高いビルが建つらしい。

 出来上がったのは、仏壇屋のビルだった。

 こんなビルが建てられるほど儲かるものなのか、とも思ったが、病院の隣というのはいくら何でもやりすぎだろ、というのが偽らざるところであった。

 あれはもしや、手の込んだ嫌がらせだったのだろうか、と今になってねじくれたことを考えてみたりもするが、仏壇屋の方は今はなくなっている。病院の粘り勝ちか。

 ところで、仏壇をていねいに「おぶつだん」と言うと、私の頭の中で「汚物弾」と変換されて困るのだが、どうにかならないものだろうか。

 

 創業五十年の模型屋が店をたたみ、今現在、当店の隣は空き物件になっている。夜などシャッターが降りっぱなしなので、通りの印象が暗くなってかなわない。

 さて、古本屋の隣にどんな店ができたら困るだろう?

 同業の類いは別にかまわないし歓迎したいくらいだ。新刊書店?向こうが嫌がるだろうな。しかし、荻窪駅前の新刊書店とBOOKOFFが並んでいる風景は、何度見ても異様だ。

 病院がすぐ近くだからアダルトなものがやってくる気遣いはないが……。

 結局今のままずっと空きっぱなし、というのが一番困るかな。

 

 

お仏壇 6点セットAPB-02